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第1091話

작가: 宮サトリ
友作が出たあと、部屋の中はしんと静まり返った。

彼女も去った。

そしておそらく、もう二度と戻らない。

弘次の耳に残ったのは、自分の心臓の鼓動だけだった。

帰り道は驚くほど順調だった。

出発した時間がちょうど渋滞を避けられたのだ。

車はスムーズに高速道路へと入っていく。

弥生はシートに身を預け、風の音に耳を傾けながら、高速に入る直前瑛介が言った言葉を思い出していた。

「本当に、これでいいのか?そうしたら、簡単には引き返せない」

弥生は唇を結んだまま、答えなかった。

運転手は順調に高速道路を走り抜け、終点へと近づいていった。

しばらくして、弥生はようやく気づいた。

瑛介がまだこの件を気にしている。

「私が彼と会えなかったとしても......あなたが気に病むことじゃないわ」

静まり返った車内に、彼女の声が響いた。

瑛介は振り向いた。

弥生はまっすぐ彼を見つめて言葉を続けた。

「あなたがそれを気にしている限り、彼の思うつぼになるんじゃないの?」

その一言に、瑛介の目がわずかに見開かれた。

まるで霧が晴れるように、すべてが腑に落ちた。

そうだ。

自分が彼の存在を意識しているかぎり、弘次の勝ちなのだ。

「......なるほどな」

暫く沈黙したあと、彼はふっと笑った。

「君の言うとおりだ。俺が無駄に考えすぎてた」

そう言って、弥生の肩を抱き寄せた。

「もうこの話は終わりにしよう。これからは......ちゃんと、日常を生きよう」

弥生はその胸に身を預け、静かにまばたきをした。

けれど彼女の心の奥では、まだ別の何かが、ひっそりと疼いていた。

一方その頃、由奈はこの数日、新人の沙依を指導していた。

沙依はこの仕事をどうしても続けたいらしく、覚えも早く、誰よりも熱心だった。

由奈が与える課題を、彼女はどれも真面目に仕上げてくる。

資料整理を命じたときには、その内容を丸ごと暗記してきたほどだ。

その結果、目の下のクマがまるでパンダみたいに濃くなってしまっていた。

それを見た由奈は、思わず苦笑して言った。

「勉強好きなのは嬉しいけど、体を壊したら意味がないわ。ちゃんと休まないと、仕事は続かないのよ」

沙依は照れくさそうに笑って肩をすくめた。

「大丈夫です、慣れてますから。徹夜くらい平気です」

「でも、もし倒れたら?私
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